ユーザー定着のためのツールを提供するAppboyの解析とアプリ内メッセージを試す。

グロースハックの有名なモデルにAARRRというのがあります。以前にも「appC cloud主催グロースハックセミナーに登壇しました。」というブログの中で軽く触れましたが、AARRRは、ユーザーの獲得から売上貢献までの過程のモデルです。
AARRRの1つめのRはリテンション、つまり継続です。リテンションはアプリ運用のキモでありながら、地道な施策の積み重ねです。
継続施策として、お知らせ、プッシュ通知、などのユーザーとのコミュニケーションが重要で、Appboyはこのリテンションに関わる様々な機能を提供するサービスです。

Appboyとは?

Appboyは、アプリのユーザー定着のためのツールです。
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App Marketing Automation | Appboy
Appboy自身は、「マーケティングオートメーション」というキーワードを使っていますが、ユーザーのインストールから定着までの行動分析や、アプリ内メッセージやプッシュ通知を含めた施策の実行までをおこなうことができます。
Appboyはユーザーの獲得に関してはあまり興味がないようで、その代わりに獲得したユーザーをいかに継続させるかにフォーカスしています。ユーザーの継続のために、ニュースフィードと呼ばれるお知らせの配信機能や、ユーザーサポートのためのツールなどもあります。ユーザー定着のためにまずはやるべきであろうことがツール化されている、という印象です。

アカウント登録をする

さっそくアカウント登録をします。
名前、メールアドレス、パスワードの他に、会社名、アプリ名なども求められます。
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登録が完了すると、SDKの導入を指示されるので、さっそく導入していきます。
スクリーンショット 2014-05-04 21.45.04

SDKの導入はCocoaPodsから

SDKの導入には、CocoaPodsを使うことができます。
プロジェクトディレクトリに配置したPodfileに依存情報を記述します。

platform :ios, '7.0'
# ...(略)...
pod 'Appboy-iOS-SDK/AppboyKit'

そして、podコマンドでインストールすれば、SDKのプロジェクトへの追加が完了です。

pod install

Appboyの初期化には、APIキーが必要です。アプリの設定画面から、キーを取得しておきます。
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そして、取得したキーを使って、アプリの起動時にAppboyの初期化処理を実行します。

- (BOOL)application:(UIApplication *)application didFinishLaunchingWithOptions:(NSDictionary *)launchOptions {
    [Appboy startWithApiKey:@"a7be1ec2-927b-4d37-ac67-4fac5dc944f8" inApplication:application withLaunchOptions:launchOptions];
    return YES;
}

これで、認証もできるようになります。実行してみると、Facebookの連携ができない旨の警告が出ますが、とりあえず動いているようです。

[APPBOY] Appboy is not collecting Facebook data: No Facebook app ID has been configured. Add FacebookAppID to your plist.

解析の機能を見てみる

管理画面に戻ってみると、先ほどのアプリ起動によって送信されたデータを元にした解析情報が表示されています。
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新規ユーザー数、DAU、MAUの他、ユーザーの再訪に関する指標なども表示されています。
別の画面からは、ユーザーの環境情報を確認できます。
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OSやデバイスの解像度、端末情報などが確認できます。
更に売上情報なども送信すれば確認できるようです。
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解析特化のツールほどの機能はないものの、必要最小限の解析機能はしっかり揃っています。

カスタムイベントの送信と閲覧

Appboyにもカスタムイベントを送信する機能があります。
イベントの送信はソースコードを1行追加するだけです。

[[Appboy sharedInstance] logCustomEvent:@"Launch"];

これを実行させてから管理画面を確認すると、イベントの情報がグラフに反映されます。
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特定のセグメントに対して、イベントの送信状況を確認することもできます。たとえば、「アプリインストール初日のユーザーが、写真の投稿に至った数」などを確認できます。

ユーザーセグメントの管理機能

ユーザーセグメントを管理する機能もあります。
最初から、最近起動したユーザーなどのセグメントが作成されているので、すぐにセグメントに関する機能が使えて便利です。
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先ほど送信したLaunchのようなカスタムイベントを元に、「10回以上Launchを送信したユーザー」などのセグメントも独自に作成できます。
このセグメントに該当するユーザーの一覧なども確認できるようになっています。
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ユーザー個人の情報も個別にトラッキングできるようになっていて、Trak.ioとも近いです。Trak.ioはこの部分の機能がもっと充実しています。
顧客管理を兼ね備えたアクセス解析ツールTrak.io
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アプリ内メッセージの送信

こうして作成したセグメントに対して、アプリ内メッセージなどを送信することができます。
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メッセージの送信の仕方は、プッシュ通知、アプリ内メッセージ、メールの3種類があるようですが、まずは簡単そうなアプリ内メッセージから試してみます。
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配信時間の指定などをして設定を完了します。
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これでアプリを起動したユーザーにメッセージが表示されるようになります。アプリ内メッセージはプッシュ通知と逆に、画面の下から表示されるようです。
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メッセージはタップされた時の挙動も設定できるようになっていて、特定のURLを開くようにしたり、ニュースフィード画面を開いたりすることができます。
メッセージの開封数などの情報も確認できます。
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A/Bテストなどはできないようなので、何回か配信をしながら、大雑把に良い方を採用していくという運用になりそうです。

価格はアクティブユーザーに応じた従量制

価格は、アクティブユーザーによります。プランごとに一定のアクティブユーザー数を利用できる基本料金と、ユーザー数ごとの従量制になっています。

100,000人以上

プラン名 基本アクティブユーザー 基本料金 従量料金
BASIC 1,000人 無料 1,000人追加で$10/月
PRO 10,000人 $100/月 10,000人追加で$100/月
ENTERPRISE

BASICプランの基本料金は、$10に打ち消し線を引いて無料となっているので、キャンペーン価格なのかもしれません。

まとめ

Growth Pushを運営しているので、ユーザーの継続に対して何ができるだろうかというのは常々考えているのですが、やはりだいたいプッシュ通知やメールになるようです。少し変わり種のところは、ユーザーサポートや、アプリ内コミュニティ、インセンティブの付与などです。
Appboyには、プッシュ通知、メール、アプリ内通知に加えて、ユーザーサポートの機能があります。あとニュースフィードというお知らせの管理機能もあります。ユーザーの定着にフォーカスして掘り下げているので、この分野をかなり網羅しています。
月額で数万円から数十万円程度のコストになると思いますが、ユーザーを獲得したところまでは良いけど継続率に課題があって、満遍なく施策を試してみたいという場合は、とりあえず使ってみるのも手かもしれません。

参考ページ

Appboy Raises $7.6M Series A To Bring Marketing Automation Tools To Mobile Apps

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