飛躍する企業の経営者は、自尊心を会社に向ける。

ビジョナリー・カンパニー」の1巻に続いて、2巻を読みました。
1巻についてはこちら。→ すごい会社は、「会社」がすごい。

Good To Great、飛躍の法則

ビジョナリー・カンパニーは、偉大な企業が、いかにしてその偉大さを維持しているか、という話でした。
読んだのは、その2巻です。
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ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則
こちらは、良い企業が、いかにして偉大な企業に飛躍するか、ということについて調査してまとめられています。そういうわけで原題は、「Good To Great」と名付けられています。

飛躍する企業の経営者には、第5水準の経営者がいる

調査の結果、飛躍した企業には「第5水準の経営者」がいて、飛躍できなかった企業には「第4水準の有能な経営者」しかいなかった、と書かれています。
第5水準までの段階はこうです。

  • 第1水準: 有能な個人
  • 第2水準: 組織に寄与する個人
  • 第3水準: 有能な管理者
  • 第4水準: 有能な経営者
  • 第5水準: 第5水準の経営者

では、第5水準の経営者はどんな人かというと、野心や自尊心のベクトルが会社に向いているような人です。

第5水準の経営者は、自尊心を会社に向ける

第5水準の経営者は、一言で表しにくいので、こういう名前になっているのだと思います。実際にどういう人なのかというと、この本には次のように書かれています。

野心は何よりも会社の成功に向けられており、自分の名声や資産には向けられていない。自分が引退した後に会社がさらに成功を収めるように望んでおり、成功の基盤を作った自分の努力には世間が気づきもしないだろうことを問題にしない。(p.40)

自尊心の対象が自分自身ではなく組織に向いているので、成功をおさめても自分のおかげだと思うことはありません。一方で失敗したときには、自分に責任があると考えます。
ビジョナリー・カンパニーの1巻の「時を告げるのではなく、時計をつくる」も近い考え方だと思います。
ベクトルが個人に向いている人より、組織に向いている人の方が、大きな成果を出すと、最近思っています。第5水準の経営者というのは、非常に高いレベルで組織指向の経営者、といえるのかもしれません。
プレゼンテーション1
経営者は組織を率いる立場なので組織指向かというと、そうでもないです。自分の資産や名声のために会社を立ち上げる人は多いと思うので、そういう意味では個人指向の経営者はたくさんいます。

誰をバスに乗せるか

第5水準の経営者が、会社を飛躍させる際にまずすることは、「適切な人をバスに乗せる」という作業です。
一般的には、達成したい目的があったり、遂行しなければならない業務があって、人を雇います。でも、飛躍する企業のアプローチは逆です。まず適切な人を雇って、それから何をするかを考えます。
その理由は、2つです。

  • 目的ありきで雇っていないので、途中で目的が変わったとしても、簡単に対応できる
  • 適切な人は管理が必要ないし、やる気を引き出したりする必要もない

僕が働いている会社は、本当に色々なことにチャレンジしていて、よく方針転換をしています。だから目的ありきで採用した後に、方針転換をすると「そんなつもりじゃなかった」となってしまうのは、確かにあります。
でも会社として生き残っていくためには、同じことだけを続けていくわけにはいきません。だから、そもそも人として良い人、組織に合っている人、適切な人をバスに乗せる、というのが必要です。
業務拡大のために採用を積極的にした時期があったのですが、結果的にあまりうまくいきませんでした。まさに「誰をバスに乗せるか」ということが問題でした。
その時から少し時間が経って、今も一緒に働いている人たちは、良いメンバーばかりになってきました。そうするとまた会社が前に進むようになって、なおさら「誰をバスに乗せるか」ということの重要さを感じています。

メモ

  • 第五水準の指導者は、窓と鏡にたとえられる。成功したときは窓の外を見て、成功した要因を探す。失敗したときは窓が鏡に見えて、自分に責任があると考える (p.56)
  • ファニーメイは毎日100万ドルの損失を出しながらも、会社を救う方法を決めるより先に、適切な人をバスに乗せる作業をした (p.71)
  • 不適切な人がバスに乗っていると、その人をマシにするために時間を使ってしまって、重要な部分にエネルギーが使えない (p.91)
  • 最高の人材は最高の機会に当てる、最大の問題に当てない。最大の問題は、解決しても無難になるだけ (p.94)
  • 飛躍した企業は単純な戦略をもっているが、単純な戦略をもっている企業がすべて飛躍しているわけではない (p.151)
  • 飛躍する戦略の3つの条件: 世界一になれる、経済的原動力になる、情熱をもって取り組める (p.153)
  • 情熱を傾けようと呼びかけるのではなく、最初から自分たちが情熱を燃やせることだけに取り組む (p.173)
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