戦略を決める時に「勝利とは何か」を考える

この本を読みました。
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P&G式 「勝つために戦う」戦略

戦略は5つの選択

戦略は、次の5つの問いに答えること、とされています。

  • 勝利とは何か?
  • どこで戦うか?
  • どう戦うか?
  • どんな強みを使うか?
  • どんな経営システムが必要か?

答える、ということは、選択をしているということです。

実業界での四十年余りを通じて、私は大半のリーダーは選択を好まないことを目撃してきた。(p.69)

選択するということはリスクを伴うので、選択をしたがらない、ということです。
しかし、選択をしないことには、戦略は成り立ちません。

勝利とは何か?

戦略を考えるときに、意外と見落としがちだなと思ったのは、「勝利とは何か」の選択です。
「どうやって勝つか」を必死に考えているのに、実は「何が勝ちなのか」を、考え忘れていることがあります。これでは漫然と戦うことになってしまいます。
この本では「勝利のアスピレーション(憧れ)」と呼ばれていますが、5つの問いの1つ目で「勝利とは何か」を決めます。
「勝利とは何か」が決まれば、残りの問いは、その勝ちに繋がる選択をすることになります。

勝利のアスピレーションの決め方

なぜ勝たなければならないかというと、ビジネスにおいては、業界のトップが圧倒的に利益を得やすいからです。
そして、勝つためには、勝ちの定義を決めなければなりません。
ポイントは2点です。

  • 製品ではなく消費者から考える
  • 控えめすぎない

製品のスペックで勝ったら勝利、ということはありません。その製品を通して、消費者にどのような価値を提供するのか、で勝利は定義すべきです。
また、戦略全体を鼓舞できるような、勝利の定義をしなければなりません。
ちなみに、勝利のアスピレーション自体は、戦略ではないので注意です。他の4つの問いにも答えて初めて、戦略が成り立ちます。

その他メモ

多くのリーダーは、有効な戦略を立てる代わりに、次の悪手の一つをとろうとする(p.14)
どんな事業をしてるかと聞かれたときに、「スマートフォンの製造をしている」と答えるが、実際には「人をいつどこにいても結びつけるビジネス」をしている(p.64)
製品を通じて物事を考える危険は、原材料・エンジニアリング・化学などに集中して、消費者を忘れること(p.65)
ホームケア事業のアスピレーションは、最も強力なクレンザーを作ることではなく、家事を楽にすること(p.65)
成長するとか、それを加速するというのは戦略ではない(p.72)
戦場を選ぶとは、戦わない場所を選ぶことでもある(p.76)
3つの危険な誘惑。すべての戦場で同時に戦おうとすること、避けられないつらい選択から逃れようとすること、現在の選択を不変とすること(p.85)
戦略は、低コスト戦略か差異化戦略しかない(p.110)
ブランドマネージャーを変えたゲインのチームは、戦場と戦法の選択からやりなおした(p.114)
戦法と戦場は同時に考える(p.122)
「私の考えはこうですが、ご意見はありますか」というアサーティブ・インクワイアリ(p.162)
より明快で簡潔な戦略ほど、よく理解され、定着し、成功しやすい。端的に言い表せるほど、力を生みやすく、やる気を促す。(p.181)
製薬の事業は、P&Gの強みと適合しないから手放した(p.198)
流通顧客と最終消費者の両方の価値を考える(p.204)
選択肢を議論するときは、「その選択肢が有効であるためには、どんな条件が整わなければならないか」、を考える(p.229)

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