ティール組織には、チームリーダーがいなくて、役割ごとのリーダーがいる

ティール組織のセルフマネジメントという考え方が良いと思ったので、まとめです。
この本を読みました。
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[イラスト解説]ティール組織――新しい働き方のスタイル

その前に、今までの組織とは?

ティール組織以前の組織は、4つに分類されています。

  • レッド組織: マフィアのような力で支配する組織
  • アンバー組織: 官僚のようなルールで支配する組織
  • オレンジ組織: 会社のような目標で支配する組織
  • グリーン組織: NPOのような多様性の組織

これに対して、ティール組織はまだ「◯◯の分野で良く見られる」とラベルを付けられないので、少し理解しづらいです。

ティール組織とは

ティール組織の特徴は次の3つだと書かれています。

  • 権力を分配 (セルフマネジメント)
  • 自分らしさを全て出す (ホールネス)
  • 常に進化する目的

これだけ聞くと「何のこっちゃ」という感じです。
詳しくは本を読んでいただくとして、この中で一番「良いかも」と思った「セルフマネジメント」について、少し掘り下げてみます。

セルフマネジメントとは?

僕は会社組織で働いているので、オレンジ組織の考え方を強く持っていました。
オレンジ組織というのは、リーダーがいて、リーダーが戦略を立てて、部下に目標を与えてマネジメントをし、部下は計画をこなす、という組織です。
セルフマネジメントの組織には、チームリーダーがいません。組織には目標ではなく目的があって、その目的に向かって、全員が各々活動している、という状態です。
一見、「本当にうまくいくのか?」と思うのですが、考えてみるとアリかもしれません。

なぜセルフマネジメントがうまくいくのか?

なぜセルフマネジメントの組織が良いのかというのを考えるために、逆に「リーダーが全部を決める組織」を考えてみます。
現場で起こったことはリーダーに報告され、リーダーはたった1人の脳みそを使って策を練り、意思決定をして、現場を動かします。その間、現場は待ち状態になります。
これがうまくいかないのは、現場の方がリーダーより正しい判断ができる場合、です。
世界は情報量が爆発的に増えていて、複雑さが増しています。間接的に報告された情報で判断するリーダーと、直接問題と向き合っている現場の人で、どちらが正しい判断ができるか、ということです。
そういうわけで、セルフマネジメントの組織では、チームリーダーはいません。代わりに、全員が自分自身をマネジメントしており、得意なことに対しては「役割ごとのリーダー」を担えばいいです。

セルフマネジメントは、リーンな組織かも

リーンというのは、無駄がない、という意味です。
リーン・スタートアップという書籍があります。これは、スタートアップは不確実なことが多いので、事業を成功させるためには、「小さく試して軌道修正を繰り返す」のが良いということが書かれています。
課題を上司に上げて、戦略を立てて、計画を部下に落とし・・・とやるのではなく、毎日全員が、各自の課題を小さく解決することを繰り返し、自分自身を軌道修正しつづける、というイメージです。
リーンスタートアップは「事業」を成功させる方法ですが、ティール組織は「組織」をリーンな考え方で成功させる方法と言えるかもしれません。

マネジメントか、セルフマネジメントか

どちらが良いかは、組織の段階や、メンバーの能力や、事業の内容によると思います。
組織の規模が小さかったり、事業が単純で、リーダーが全てを理解していて、正確に判断できる能力がある場合、マネジメントは有効だと思います。
一方で、事業環境が良く変化したり、不確実性が高くて、判断を常に変化させ続けなければならない場合。または、メンバーが優秀で、リーダーよりも正しく判断する能力をもつ場合、セルフマネジメントの組織のほうがうまくいくかもしれません。

その他メモ

  • ティール組織の例として、オランダの在宅医療事業をするビュートゾルフ。従業員は9,000人いるが、10人くらいずつのチームに分かれていて、リーダーはいない。(p.65)
  • それまでの医療は、看護師が決められたタイムテーブルに従って、機械的に処理していた。ビュートゾルフは、コーヒーを飲んで患者と話をすることから始める。正しい判断ができるようになり、看護時間はむしろ減り、救急搬送も減った。(p.69)
  • ティール組織は例えるならば生命システム。生態系にリーダーはいないが進化し続けている(p.72)
  • マネジメント作業は手分けしてやる。ある人は週末計画、ある人は新人募集、ある人は地元の病院と連絡、など。(p.85)
  • 助言プロセスという仕組み。誰でも意思決定権を持つ。ただし、決定に関わる人の助言を必ず受ける必要がある。(p.89)
  • ミーティングで、エゴ中心になったり、不満タラタラになったら、ベルを鳴らす(p.132)
  • ティール組織は高潔な目的をもつ。ビュートゾルフは、競合に対して方法をコンサルする。(p.142)
  • 予測→制御ではなく、感知→応答(p.145)
  • 変化は、いたるところで自然に起きる。(p.159)
  • あなたはすでに明晰で、その理解を見つけるエネルギーに満ちている(p.171)
  • 出張の承認をなくすと、悪用する人もいる。自己修復のプロセスが必要。(p.183)
  • 「コントロールしてほしい」という要求が出る。CEOの役割は、セルフマネジメントを保つこと。(p.188)
  • モーニングスターでは、最も密に働く人との個人契約を毎年する。これはピラミッドにならない。自然な組織はピラミッドではないはず。(p.198)

コメント

  1. […] ティール組織についてでも書きましたが、情報量が増えた今の知的労働では、上司がすべての情報を把握して、部下はそれに従うだけ、というのは不可能になりました。 […]

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