メンバー全員の熱量が高い状態を保たないと、全員が不幸になる。

いつ読んだか覚えていないけど、以前に読んだ本について。

フリーライダー

フリーライダーというのは、仕事をしないで給料をもらったり、他の人の成果を横取りして出世するような人のことです。
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フリーライダー あなたの隣のただのり社員
フリーライダーについて、すごくシンプルなモデルが紹介されていました。「社会的ジレンマ」とか「公共財問題」という名前がついているそうです。

会社が機能する理由

会社という組織は、みんなが自分の労働力を会社に提供して、会社はそれを集めて増幅させて社員に給料として還元します。
たとえば、10人の会社で、一人ひとりが個人として10万円分の労働を提供すると、全員で100万円分の労働になります。会社はこれをたとえば2倍に増幅させて200万円の利益を生み、全員に20万円の給料を支払います。
全員が10万円の労働をして20万円をもらうので、全員が10万円分の利益を得て幸せです。

フリーライダーが発生する理由

ここで、10人のうちの1人が全く労働を提供しなくなるとします。すると、全員で90万円の労働になって、そこから生まれる利益が180万円になって、1人あたりの給料は18万円になります。
労働を提供していた人は、同じ10万円の労働をしているのに、給料が18万円になり、利益が2万円減ります。
しかし労働をしなかった人だけは、18万円が丸っと利益になるので得をします。だから、合理的な理由で、フリーライダーは発生します。

実際には全員が不幸になっているかもしれない

フリーライダーは、経済的には合理的な行動をとっています。しかし、まわりのメンバーにとってみれば邪魔な存在になってしまうので、だんだん孤立していき、結果的にはその人自身も不幸になってしまいます。
考えてみれば他の人を不幸にしながら、その集団の中で自分だけ幸せになるのは、むずかしいです。

フリーライダーは拡散する

ここで他の9人は、この1人がズルをしていることに気づきます。しかし、この1人を更生させるためには、自分が更生のための労働力を提供しなければなりません。だから、経済的な合理性で、フリーライダーを更生させる行動を取る人は少ないそうです。
すると、自分だけが損をしたくないという発想が広がって、次々にフリーライダーになっていきます。
気をつけなければならないなと思うのは、放っておけば常に全員がフリーライダーになる方向に「力」がかかっていることです。
そういうわけで、会社は全員が同じように熱量が高い状態の方がみんなが幸せで、熱量の低い人が出てくると、みんながどんどん不幸になっていってしまいます。

フリーライドが得にならない構造にする

フリーライドが得なのは、貢献度と還元される報酬が比例していないためです。
だから、できるだけ貢献度の高い人に多くの報酬を与えて、反対に貢献度の低い人には罰則などを与える必要があります。どちらも経済的には同じなんですが、貢献度の高い人に報酬を与える方がまわりにもポジティブな影響を与える傾向があるようです。
そうやって構造を変えた上でもフリーライドをする人は、組織に残さない方が全員のためです。
会社にはどうしても熱量の低い人が出てきて、全体の熱量は下がっていく方向に進まざるをえないのかもしれないけれど、それでも工夫してみんなの熱量を保っていかないといけないと改めて思いました。

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