失敗との向き合い方がすべてを決める

失敗の科学

仕事をしていると、ミスをすることがあります。
自分自身がミスをしないようにするには、というのもありますし、システムを作る立場としてユーザーにミスをさせないためにはどうしたらいいのか、というのも気になって、この本を読みました。

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織

奇跡的に安全な航空業界

航空事故で死亡する人は、年間数百人だそうです。
一方で、アメリカでは、医療ミスといえるような死亡事故は、約100倍の数万件あるそうです。

その差は、航空業界には失敗を学習するシステムがあることです。

医療業界では、人が死亡しても「避けられなかったこと」と解釈して、その調査に時間をかけようとしないといいます。

一方では、航空機にはブラックボックスが搭載されており、事故が発生すれば二度と同じ失敗が起きないように調査と対策がとられるそうです。
小さなミスで報告書を提出する場合、10日以内なら処罰されない、という報告の仕組みもあります。
そして、事故の報告書は公開され、世界中のパイロットがアクセスできるようになっていたりします。

このような「失敗から学習する仕組み」が、事故率の差に繋がっています。

間違いがあっても、人は考えを変えられない

身の回りで失敗や間違いがあっても、そこから学ぶことは、実は難しいです。

人は、認知的不協和の状態、つまり自分が信じているものと事実が異なる場合、事実を否定するか、都合よく解釈してしまいます。

したがって、もし失敗があっても、それを素直に受けいれるのは難しいです。
しかも、同じ失敗をしていても、その失敗に至るまでに努力をしたり大変な思いをしているほど、間違いを認められなくなります。
たとえば、検察は完全無欠であると信じているために、DNA鑑定による科学的な証拠が出ても冤罪を認められない、ということがあったそうです。

小さな改善を積み重ねるマージナルゲイン

学習のシステムについては、マージナルゲインという考え方が、紹介されていて面白いと思いました。

イギリスの弱小ロードレースチームが、ツール・ド・フランスで優勝した際に使ったのが、マージナルゲインです。
これは、大きな目標を小さな問題に分解して、一つひとつを検証し、改善していくというものです。

日本人の小林尊が、アメリカのホットドックの早食い大会で、2位にダブルスコアをつけて優勝したのも、このマージナルゲインという手法でした。

小柄な日本人が優勝するためにしたことは、肉体を鍛えることではなく、ホットドックの食べ方を研究することでした。
ホットドックを端から食べるのか内側から食べるのか、パンと一緒に食べるのか別にして食べるのか、などです。

大きな目標も小さくわけて改善していくことで、大きな成果に繋がります。

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